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「ま、雅文!重い!重い!」
「離さない」
「いや、普通に重いから!」
そのまま、今度はぶちゅうーってキス。
「んっ!」
「………明日香、どうしたら許してくれる?……マジで明日香が気が済むように謝るし、したいようにしてくれていいから」
「謝ってないじゃんか!キスしてんじゃんか!」
「明日香が前に居るから。離したくないし」
「ワガママ!」
「ワガママでもいいから、マジで!」
「………よく、わかんない」
「何が?」
「私は恋愛とかわからないの。……そんな恋愛できる環境で育ってないから……」
「明日香さ、何が1番欲しい?金?」
「お金………じゃない。『安心』かなあ?それと『普通』」
「安心は金もだろ?」
「まあ、そうだね。お金無いと不安。普通は……してなかった事、してみたいな。………オシャレしてみたい。遊んでみたい。普通な子がしてる事、してみたいなあ」
「明日香、全部任せろ!お前に全部俺がしてやる!」
「は?」
「出掛けよ!行くぞ!」
「待って!待って!……うわああ!」
わけわからないまま、雅文に部屋から連れ出された。
車に乗せられて、なんだかよくわからんうちに美容院へ。
見るからに高そうだし、『完全予約制』の看板出てる。
オロオロしてる私を引っ張って、中へ。
「店長居るー?」
「あ、倉内さん、いらっしゃいませ。どうされました?」
「この子、オシャレにしてあげて!自慢できるくらい!」
もう、わけわからないまま、個室みたいなブースに通され、頭いろいろされた。
「オシャレって、どうしたいですか?」
店長さんらしき人に言われたが、オシャレ自体わかんない!
「………あの、お任せします………」
まず脱色されて、それからアッシュシルバー入れられた。
髪の毛、美容院なんか初めてで、緊張して強ばってた。
んで、軽くカットしてる間にネイル。
なんだ?なんだ?
数時間かかってるのに、雅文、ニコニコして待ってるし。
出来上がった私、透明感のある、ツヤツヤな色のアッシュカラーにされて、ふんわりカット。
前がもさかったのがよくわかる。……美容院って凄い。
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