3話 恋愛初心者

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「ま、雅文!重い!重い!」 「離さない」 「いや、普通に重いから!」 そのまま、今度はぶちゅうーってキス。 「んっ!」 「………明日香、どうしたら許してくれる?……マジで明日香が気が済むように謝るし、したいようにしてくれていいから」 「謝ってないじゃんか!キスしてんじゃんか!」 「明日香が前に居るから。離したくないし」 「ワガママ!」 「ワガママでもいいから、マジで!」 「………よく、わかんない」 「何が?」 「私は恋愛とかわからないの。……そんな恋愛できる環境で育ってないから……」 「明日香さ、何が1番欲しい?金?」 「お金………じゃない。『安心』かなあ?それと『普通』」 「安心は金もだろ?」 「まあ、そうだね。お金無いと不安。普通は……してなかった事、してみたいな。………オシャレしてみたい。遊んでみたい。普通な子がしてる事、してみたいなあ」 「明日香、全部任せろ!お前に全部俺がしてやる!」 「は?」 「出掛けよ!行くぞ!」 「待って!待って!……うわああ!」 わけわからないまま、雅文に部屋から連れ出された。 車に乗せられて、なんだかよくわからんうちに美容院へ。 見るからに高そうだし、『完全予約制』の看板出てる。 オロオロしてる私を引っ張って、中へ。 「店長居るー?」 「あ、倉内さん、いらっしゃいませ。どうされました?」 「この子、オシャレにしてあげて!自慢できるくらい!」 もう、わけわからないまま、個室みたいなブースに通され、頭いろいろされた。 「オシャレって、どうしたいですか?」 店長さんらしき人に言われたが、オシャレ自体わかんない! 「………あの、お任せします………」 まず脱色されて、それからアッシュシルバー入れられた。 髪の毛、美容院なんか初めてで、緊張して強ばってた。 んで、軽くカットしてる間にネイル。 なんだ?なんだ? 数時間かかってるのに、雅文、ニコニコして待ってるし。 出来上がった私、透明感のある、ツヤツヤな色のアッシュカラーにされて、ふんわりカット。 前がもさかったのがよくわかる。……美容院って凄い。
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