23話 贖罪

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23話 贖罪

「は?……新治が?なんでだ?」 「こっちが聞きたいくらいだよ。お陰さまで頼んだサイト関係者や、俺達だけでほとんどの動画は削除できたはずだよ」 「………生田さん、ありがとう!!………でも、おかしい。あんなにこだわって、俺にさえ見せてきた動画を消すって……新治に何かあったのか?」 「さてね。それは俺にもわからんよ。ま、とにかく良かったよ」 「……………」 嬉しい事だが、何か腑に落ちない感じがしていた。 ………明日香にあれだけ執着して、暴走していた新治がなぜだ? 諦めたとは思えない。 雅文の携帯が鳴った。表示は『中山真紀』となっていた。 「もしもし?」 「あの、……今ね、お姉ちゃん……明日香さんのバッグを渡しにマンションまで来たの。……でも誰も出なくて………明日香さんはまだ病院なの?」 「明日香のバッグ?!どうして真紀ちゃんが?!」 「…………聞かないで。とにかく、なんとか持って来たの。携帯も財布も薬もあるの………どうしたらいい?」 雅文は生田に怒鳴った。 「生田さん!!!悪い!!マンションに戻ってくれ!!」 「わわ!!なんだよ!!忘れ物か?」 「いいから!!今ならすぐに戻れるだろ?」 「わ、わかった」 「真紀ちゃん!そこに居て!!すぐに行くから!!」 「………うん」 通話を切った。 雅文がマンション前で車を降り、エントランス前の柱の端に立っている真紀を見付け、走って行った。 「真紀ちゃん!!」 近寄って、真紀の顔を見て、なんとなくだがわかった。 「あ、これがお姉ちゃん……明日香さんのバッグ。あって良かった」 「………真紀ちゃん、眉はどうした?」 「………き、気分転換に……とりあえず、はい!」 真紀からバッグを受け取った。確かに明日香のバッグだった。 「………真紀ちゃん、どうした?……新治の所に行ったんだろう?」 「………今はまだ言えない。……あと少しなの。だから……雅文さんは明日香さんを元に戻るように見ててあげて下さい………あ、あと、もしも新治さんが何か言ってきても『知らない』って言って?……別に悪い事をして持って来たんじゃないから。……私…もう行かないと………あの、………お姉ちゃん……明日香さんが早く良くなるように私も願ってるから!」 真紀は走って行ってしまった。
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