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相変わらずこの駅の通路は、激しい喧騒とともに多くの人が行き交っている。
男女の声はけたたましく、嘲笑うかのような笑い声が響く。
心を抉るような人の態度や声は、外に蔓延している。
それらはいつでも風に乗ってやってきて、また恐怖に苛まれるかもしれない。
だけど、今のこの瞬間───。
僕の意識は、少し変わった。
通路に目を向けると、そこはいつもより澄んでいて、遠くまで見渡せた。
少し、歩きだせそうな気がした。
僕は深く息を吐きながら、改札口の方にある時計を見た。
そろそろ、友達が来る時間だ。
【END】
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