風の通り路

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 二人にとってはお馴染みのこの駅は、人の往来の激しいちょっとしたターミナル駅で、昔から柄の悪い連中が横行しているため治安の悪い駅として有名だった。  僕自身もこの駅が嫌いで、ましてや外の世界から遠ざかっていた今の僕にとっては長く居座るのも勇気のいる場所だった。  僕とさほど年の変わらない男女のけたたましい喧騒や高校生の集団の甲高い笑い声に、僕はいちいち心臓をビクつかせて手に汗を握ってしまう。  駅構内の通路は特に若者で賑わい、しかも今は金曜の夕方。  休日を控えた学生や社会人がいつも以上にたむろするのは当然なのだろう。  カワダが早く来ないかと心の中で呟く。  飲みに行くならさっさと店に入ってこの喧騒から逃れたいと思うし、だけど飲み屋は飲み屋でさらなる喧騒が待っているかもしれないという、どうしようもない不安にかられる。  やはり、外は辛い……。  家にいる方が楽だ。  僕は帰りたい衝動を振り切るかのように、ふと伏せていた顔を上げた。
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