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―Ⅶ―
翌朝、8時にそれぞれの客車に乗り込んだ一行は、ユーカリノ区でふた手に分かれた。
アークたちは彩石の泉とも呼ばれる採石場へ向かい、ルークたちは最寄りの遊戯場へと向かった。
採石場へ案内されたカティムとユーイはその光景に言葉を失う。
カティムは、足元に広がる彩石を次々と手に取って、これもこれも彩石なのか、と大きな声を上げた。
ユーイもひとつひとつ手にとって、自分に判る属性の彩石を口を開けて見ていた。
アークたちが来たのは規模の大きな採石場で、形が折れ曲がっていたので、端まで見通すことはできなかった。
「途方に暮れるとはこのことだ!この採石場から求める彩石を見付けるのは困難だな!」
「何かお求めでしたか?」
アークが聞くと、カティムは頷きながら言った。
「ああ、近頃ボルファルカルトルで話題の光る彩石を見てみたく思うんだ」
「それでは選別場に行きましょう。ユーイ、選別場に移動しましょう」
そうして選別場に向かったアークたちは、早速、灯石類(とうせきるい)という、光る彩石を4種類見せてもらった。
土の力で発光する灯苔石(とうたいせき)、風の力で発光する灯輝石(とうきせき)、水の力で発光する灯揺石(とうようせき)、火の力で発光する灯標石(とうひょうせき)だ。
カティムはその光り方の違いに感心し、ほかの名のあるサイセキも見てみたい、と言った。
サイセキとは、彩石のなかで力を内包するもののことを言い、そのなかでも特に名のあるサイセキは、術語を用いず特定の働きをする。
灯石類も、サイセキのひとつだ。
「それでは博物館に行きましょう。一応選別の様子なども見てみますか?」
「そうだな、見られるものは見ておきたい」
カティムとユーイが頷き、アークたちは選別の様子、彩石の保管庫の様子など見てから併設されている博物館へ向かった。
博物館にあるサイセキの数はとても多く、一日かけても全部は見られないのではないかと思われた。
なかでもその働きをそのまま展示してあるサイセキを見て回り、昼になると、アークたちは併設されている食堂でヴォッカのごろ煮をいただいた。
「それでは彩石湯へご案内しますね」
「その名からして彩石を使った湯なのだろうか?」
カティムに聞かれて、アークはにっこり微笑んだ。
「そうです。ぜひ効果のほどを体感なさってください」
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