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各国の集合
―Ⅰ―
土、風、水、火の応用修練場が完成し、ルークはアークに言って、カザフィス王国、サールーン王国、ボルファルカルトル国、ザクォーネ王国の代表者を呼んでもらうことにした。
それと同時にアークは、東西セルズとセルズ王国中央政府とシャスティマ連邦から代表者を招いて、火山結界に対する備えについて話し合おうと考えた。
各国にそのように招待状が届き、一番最初に到着したのはシャスティマ連邦大統領カティム・シャスティマだった。
彼は側近と護衛としての騎士5人とともに颯爽と現れ、会見の間でアークと握手を交わした。
「ようやく参加させてもらえるのだな」
アークは控えめに笑って言った。
「シャスティマ連邦には直接求めることはないのです。ただ、北方を騒がせるので、了承しておいてもらいたいとお呼びしました」
「なんと!彩石の提供なり何なり、できることはなんでもしようぞ!」
そう言うカティムにアークは笑顔で応えた。
「お気持ちありがたく頂戴します。ひとつだけお願いが」
「なんだね」
「結界の記録を取っておいていただきたいのです。我が国でも探しましたが、何千年もの空白期間があったのです。サールーン王国はよいとして、セルズ王国は現在東西に分かれており、今後どうなるか判りません。正確な記録を残すことは、結界維持に大きく貢献することでしょう」
「ふむ。たったそれだけ…でよいのかな?」
「それこそが何よりの力となります」
カティムは物足りなく思ったが、とにかく話を聞いてみなければ、と思い直した。
「ところで各国の代表が集まるのは今週の円(えん)の日とか。実はそれまでに色々と見ておきたいのだ。アルシュファイド王国のことを。構わないかな」
「ええ、もちろん。案内させましょう。どのようなことをご覧になりたいですか?」
「まずは祭王陛下にお会いしたい」
「我が祭王とは夕食時にお会いできるでしょう」
「祭王陛下はご多忙か」
「現在城におりません。時折遠方にも出掛けているものですから、夕食まで待たれてはいかがでしょう」
「ふむ、そうなのか。では、湖にあった船を見てみたい。緑、青、赤と分かれて、何やら異能を発している様子だった。あれは何かな?」
「あれは応用修練場というものです。あれらにご興味がおありなら、来週、各国代表を集めてお披露目があるのです。その際にご覧に入れましょう」
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