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「各国とは?」
「あの事業に手を貸してくださっているカザフィス王国、サールーン王国、ボルファルカルトル国、ザクォーネ王国です」
「なんと、4国も手を貸すほどの事業とは一体…」
「ご覧になってみてのお楽しみです。他にございませんか?」
「む、そうだな、湖岸全体に興味深いものが見られた。何やら塔や、城のような建物、レテリム港も美しかったな。よく見てみたい。それに黒い岩山は…ただの岩山なのかな?」
「それは恐らく黒檀塔です。この城の真裏にあります。そうですね、朝食はお済みでしょうか?」
「うむ。船のなかで済ませてきたよ」
「それでしたら、このまま黒檀塔の桟橋から湖に出て、その塔のある造船所に行かれてみてはいかがでしょう」
「うむ。あの塔は造船所なのか。もちろん今すぐ行きたい!」
「それではこれなる白剱騎士に案内させます。シィン、お願いね」
シィン…ルゥシィン・ヴィーレンツァリオが騎士の礼をして、承知しました、と言った。
カティムを迎えに来たのも彼だった。
「気になるのだが、白剱騎士とはほかの騎士と違うのかな?」
アークは頷いた。
「彩石騎士の筆頭です。彩石騎士とは、有事の際にわたくしたち双王の代行を務めることもある高位の騎士であり、わたくしたちの最も信頼する者です。そのように接していただきたいです」
「ふむ。すると軍を動かすとか…?」
アークは微笑んだ。
「そういう働きは、二の次ですが…まあ、何もないのが一番です。それでは、カティム様、アルシュファイドへようこそ。滞在期間を楽しめますように」
「どうかカティムと呼んでくれ。私もアークと呼んでいいかな?」
アークはにこりと笑った。
「ええ、カティム。そうしてください」
「ではアーク、またあとで」
こうして会見が終わり、カティムたちが部屋を出て、アークはほっと息をついた。
部屋にはほかに、彩石騎士の1人、緑鉉騎士ファイナ・ウォリス・ザカィア・リル・ウェズラと、アークの従者セレン・スタッポードがいた。
「さて、始まったわね…!」
アークの言葉に、ファイナが答えた。
「ああ。だが来週が要だ。気を張り過ぎるな」
「ええ…!」
アークはファイナとセレンを見て言った。
「よろしく頼むわ」
「準備はしている」
ファイナが頷き、セレンが頭を少し下げた。
「お心のままに」
アークは満足して頷き、会見の間を出た。
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