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―Ⅲ―
翌日、カティムは、あてがわれた部屋で朝食を摂ると、シィンに連れられてリュウシ工業地区に向かった。
入れ代わりに、北門前桟橋からカザフィス王国第一王子ジエナ・ルスカ・フォレステイト・ナサニエリ・カザフとその妃、エリエラファナ・サー・ルーン・カザフ…エリィが彩石騎士の1人、緑棠騎士スー・ローゼルスタインに伴われて王城に入った。
ジエナにはラド・キニルとハンザ・ホートレイクという護衛が付き、エリィには侍女ポーリーン・ゾラ…ポーラと5人の護衛が付いていた。
従者たちとともに貴賓用の談話室に通されたジエナとエリィは、すぐに来たアークと再会を喜んだ。
「今回はとうとう応用修練場の完成が見られるんだって?」
ジエナの問いに、アークは大きく頷いた。
「ええ、ジエナにいさま。稼働状況は順調なようです」
「もうすでに始まってるのかい!」
「試運転、と言っていました。私もまだ見ていないんです。楽しみです」
ところで、とアークは2人を見た。
「お早いお着きでしたが、どのように過ごされますか?」
ジエナがエリィを見た。
「エリィ、特に行きたいところはあるかい」
「本を売っているところに行きたいですわ!今回はサールーンに寄るのですよね?シェフィに辞書を頼まれましたの」
シェフィとはサールーン王国第三王女シェファナメリア・サー・ルーン、エリィの実妹のことだ。
「ああ、そうだったね。まずは書店に行こう。そのあとは…適当に町を歩いてみるのも悪くない」
「スーが同行します。それでは、アルシュファイドへようこそ。滞在期間を楽しめますように」
そう言ってアークは席を立った。
ジエナとエリィも席を立ち、スーや従者たちとともに部屋を出た。
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