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―Ⅳ―
その晩はアーク、ルーク、シィン、ユラ-カグナ、カティム、ジエナ、エリィで机を囲んで夕食を楽しんだ。
カティムはリュウシ工業地区の規模の大きさにしきりに感心した。
そのあと、ズリューナの丘に行ったらしく、ひと息つけたと笑みをこぼした。
ひと休みしたあとは、ヤクカン市場に行ったと言って、また規模の大きさに感心し、品物の流れを見て、シャスティマ連邦に行く物、来た物の品目を確かめていた。
一方、ジエナとエリィは、書店で本を求める前に、図書館に行って、蔵書を確かめた。
それから書店に行って、辞書と様々な図鑑を求めると、スーが王城に届けさせた。
そのあと2人は街中をゆっくり歩いて回って帰ってきたらしい。
「昼食はどうされました?」
アークの問いに、ジエナが答えた
「レローシェという図書館に近い食堂で食べてきたよ」
続けてカティムが言った。
「私はヤクカン市場で食べてきた。食材が豊富で驚いた!」
ひとしきりそのときの感動を話して、カティムは言った。
「明日は黒檀塔の騎士たちの様子を見たい。ナイデア共和国の賊を払ってくれた礼も言いたい」
「遠境警衛隊ですね。そちらへ行っていた者たちもいますよ。きっと励みになるでしょう」
「ナイデア共和国の賊を払った?」
ジエナが聞き、カティムは頷いた。
「とりわけ、襲われた町の賊を払ってくれ、怪我人を不思議な薬で治したり、町ふたつを結界で保護までしてくれた。風の強い者がいるのだろうか?」
「それは風の宮公ですね。たまたま居合わせたのです」
「風の宮公…風の最大守護者にして放浪の宮か…!それは運の良いことだった」
アルシュファイド王国には表神殿という施設があり、そのなかに土、風、水、火の四の宮がある。
風の宮公とはそのうちの風の宮を預かる者で、当代はデュッセネ・イエヤ…デュッカという。
風の最大守護者とは、一国を絶縁結界で覆うほどの力量を持つ祭王ルーク直属の人材なので、その力量を大陸最大と目されて呼ばれるようになった。
「ではその風の宮公にも礼を言いたい。今はどちらにおられるだろうか?」
「明日であれば風の宮にいるのではないでしょうか。ついでに基礎修練もされてみてはいかがです?」
「基礎修練…何か判らないが、やってみよう」
「ジエナにいさまとエリィはどのように?」
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