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「周りの誰が許さなくても、それを諦める理由にしちゃダメ。未来がある人は、続けて。夢見ることを続けて。本当に好きなことなら、続けて」
すると彼は、息を飲むようにして黙った後──。
「ありがとう」
そう言って、微笑んでくれた。
「私はもう遠くに行っちゃうから、もうここには来れないけど、」
私は、陳列棚に歯磨き粉をコトリと戻す。
「遠くで応援してるから。私の分まで、頑張って」
既に頑張っている人に頑張ってと言うのは、残酷──そんな言葉をよく聞く。
だけど私は、彼に頑張ってと告げた。
それが、もう頑張ることのできない私からの、何よりの言葉だと思ったからだ。
これだけ伝えられれば、もう十分だった。
私はコンビニを後にして、万感の思いで一歩踏み出した。
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