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後に、彼女があの直後に女子のグループの所へ行って“暴力沙汰”を起こしたことを知った。
聞けば、彼女はクラスで孤立し、あのグループからいじめに遇って度々トラブルを起こしていたのだという。
それからは、彼女を見かけなくなった。
先生に彼女と連絡をとりたい旨を打ち明けると、「家庭の事情があるからね」とやんわりと断られた。
そして「あんまり関わらない方がいいよ」とさえ言われた。
同じ夢を持っているから進路のことが気に掛かると尚も食い下がると、先生は──。
「彼女進路変えたから。あの高専はやめたらしいよ」
事もなげに告げるその口振りに、声も出なかった。
聞けば、誰でも入れるようなバカ学校。それは絶対に彼女の意志じゃない。
僕は彼女と話をするために手を尽くしたが、出来なかった。
彼女のクラスの人間誰もが彼女の連絡先や家を知らないし、誰もが彼女を終わったことにしようとしていたのだ。
このクラスは腐っていると思った。
みんな死んだ魚のような目をして、教室の中の空気は手入れを忘れられた水槽の水のように濁りきって、淀んでいたのだ。
そうしていく中で、次第に僕も彼女に声を掛けるのを諦めてしまった。
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