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夢は、本当に希望に満ち溢れたものなのだろうか。
──届かない。
荒涼な砂漠に足を取られ、渇きにも餓えて満たされない日々。
この旅は、いつまで続くのだろうか。
苦しい。疲れた。
もうやめようか。
どうせ叶わない。
やめた方がいい。
どうせ無理だ、やめちまえよ。
現に、同じ夢を持つ者が一人、ドロップアウトして死んだじゃないか。
死んだ──。
違う、僕が彼女を見殺しにしたんだ。
結局、中学での彼女を探し出すことを諦めてしまったから。
もしかしたら彼女を引っ張り上げることだって出来たかもしれないのに、僕はそれをしなかった。
見て見ぬフリをしていたのだ。
僕も、あの時の彼女のクラスの連中と同じだ。
自分のことしか頭にない。
自分さえよければそれでいい。
これは、警告なんじゃないか。
警告であり、天罰。
夢を諦めて死んだように生きるか、夢を追い続けてのたれ死ぬか。
そんな瀬戸際まで追い込まれているのは、自分ばかりが夢を追い、彼女を見捨てた罰なんじゃないか。
そう思えてならなかった。
だけど、そんな矢先──。
彼女は、“また”現れた。
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