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Epilogue(終章)
ルッヒト家再興も図れず絶望したリュミエールは、宮廷を売り飛ばし、別荘へと引きこもっていった。
ヴェルデはそんな無気力なリュミエールについて行き、寝たきりの彼の看病をした。
リュミエールを励ますために──彼を支えるために、彼の才能の一つ一つを自分でも発揮出来ないかと試してみた。
しかし、何一つ出来なかった。
リュミエールの書いた学問書を読んでみても理解出来ず、絵を描いてみても下手くそだった。
詩を作ろうとしても何も浮かばず、容姿が美しいわけでもない。
チェンバロを弾くことも出来ず、ましてや発明など出来るはずもなかった。
自分に出来ることは、せいぜい機織りの内職をしながら倹しい暮らしをし、リュミエールの世話をすることぐらいだった。
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