Ⅰ◆第一夫人・シーニィ(学者)

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Ⅰ◆第一夫人・シーニィ(学者)

「──私が未だかつて出会った天才は、リュミエール様をもって外(ほか)にはおりません。あの方の研究理念や優れた解析能力……。私はあの方と共に研究に没頭し、もっと理解を深めたいのです」  ──これが第一夫人・シーニィの、リュミエールへの求婚理由である。  シーニィ・ブラオは大学教授の娘であり、その影響あってか、幼い頃から数学、哲学、天文学に深い興味を示し、その学問に打ち込む才女と謳われていた。  成長するにつれその知性は表面的にも際立ち、美貌として表れていった。  性格は沈着かつ冷静であり、現実主義者(リアリスト)の傾向がある。  声も肌も、混じり気のない冷たい川のような清浄な雰囲気と潤沢さで包まれている──そんな女性だった。
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