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私が幼稚園の頃に、父は病気で天国に旅立ってしまい、母は女手一つで私を育ててくれている。
そんな母の苦労を私なりに理解していて、小学校5年生になった私は12月のある日、母にこんなことを言った。
「おかあさん、私はクリスマスプレゼントいらないからね!」
私の言いたいことを母は理解してくれたようで、
「美優は、優しい子だね!」
と私の頭を撫でてくれた。
でも母は、
「クリスマスの日くらい、何か買ってあげるよ!
美優は、毎日おかあさんの手伝いをよくしてくれるから、そのご褒美だよ!」
と言ってくれた。
その時の私は、買ってほしいものがなかったわけではないが、子供ながらに母のことを心配して、
「今、ほしいものないんだよ!」
と嘘の発言をした。
私は、母の負担を少しでも減らそうと純粋にそう思っていた。
この年から、クリスマスの日の朝、サンタクロースからのプレゼントが私の枕元に置かれていることはなくなった。
少し寂しいような気もしたけれど、
(これでいい!)
と自分に言い聞かせて、自分自身を納得させていた。
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