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高校に進学した私は、家の家計の負担を少しでも助けようとアルバイトをする毎日だった。
母は、昼間はアパレルの仕事、夜はスナックの仕事と掛け持ちしていて、毎日大変な思いをして仕事をしているのだろうと思っていた。
でも母は、私の前で弱音を吐いたり、疲れたような表情を見せることは一切なく、私の前ではいつも笑顔で話をしてくれた。
私の高校の事や勉強の事には、あまり口を出すことはなく母は、
「美優は、自分のやりたいことが見つかるといいね!
そのやりたいことが仕事としてできたら、なおいいけどね!」
といつも話していた。
私の高校生活は、学業とアルバイトに明け暮れていたけれど、決して暗い高校生活ではなかったと思っている。
高校の先生や友達にも恵まれて、充実した高校生活を送ることができた。
高校3年生になった私は、卒業後のことを決めなければならなかったが、私は経済的に大学進学は無理だと思っていた。
そんな時母が、
「美優、大学に行きたければ行きなさい!
美優の大学の学費くらいは、何とかできるくらい貯金はあるから心配しなくていいんだよ!」
と優しく声をかけてくれた。
私の正直な気持ちとしては大学に行きたかったけれど、母への経済的負担を考えると、とても大学には行けないと思っていた。
しかし、母はいつになく強い口調で、
「美優は頭の良い子だから、大学に行かないともったいないよ!
それに、大学に行かないと将来後悔することになるから、遠慮なんかしなくていいから大学に行きなさい!」
と、私に訴えるように話してくれた。
私は、母がここまで言ってくれるのなら大学に行こうと決意して、受験勉強に集中することにした。
大学に行くなら、できるだけ経済的な負担の少ない公立の大学に行こうと考えて、自分なりに一生懸命受験勉強をした。
その努力の甲斐あって、私は地元の国立信州大学に合格することができた。
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