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千鳥はされるがまま身を寄せて浴槽の縁へと時雨の細い躰を囲い込んだ。すぐ間近に綺麗な顔を覗き込む。
「魔力にアテられたのか? それとも、力の使い過ぎで収まりがつかないのか?」
「両方」
「そういう事にしておくか」
反論しかける時雨の唇を、千鳥が強引に塞いだ。だが、次の瞬間にはあっさりと胸を押し退けられ、合わせたばかりの唇が離れる。
「つれないな」
「俺が口付けたい場所はそこじゃない」
きっぱりと言ってのける時雨の声は、明らかな不機嫌の色を纏う。その様子に、千鳥は時雨の視界に入らない頭上で苦しそうに眉根を寄せた。
体質とでも言うべきか。時雨は、力を使うのと引き換えに躰の中に性的な欲求を溜め込む。そしてそれを鎮めるために千鳥は寝食を共にしてもいた。
時雨の躰を一度抱き上げ、態勢を入れ替えた千鳥は浴槽の縁へと腰かける。ゆっくりと、脚の間にある中心へと顔を寄せる時雨の髪を、千鳥はゆったりと撫でた。
熱い吐息が雄芯にかかったかと思えばすぐさま温かな粘膜に包み込まれる。
「っ…ぁ、時雨…ッ」
囁くように千鳥が名を呼べば、ゆらりと時雨の瞳が動いて視線が絡み合う。雄芯を食んだままの唇が歪にゆがんだ。
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