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それが何故か、有栖川がメッセージを読む前に、五所川原の手に渡ってしまったのだ。有栖川がホワイトデーのお返しで五所川原の事を思い出し、誰か人の名前を聞き出そうとしていたのはつまりそういう事だ。
そして、五所川原は僕のいじましい想いを踏みにじり、有栖川を装い僕の下駄箱にマシュマロを入れ欺いた。教師としてあるまじき行為ではないか。
「……あの野郎」
「えっ? 月城くん何か言った?」
「ううん、なんでもないよ。そうだ、有栖川くん。五所川原先生に会ったら伝言を伝えておいてくれないかな」
「うん、いいよ。なんて言えばいい?」
「『いずれマシュマロのお礼に伺います』」
「え、このマシュマロ五所川原先生からだったんだ。なぁんだ、エコヒイキは僕だけじゃなかったんだね」
「そうみたいだね」
嬉しそうにぴょこぴょこ飛び跳ねる有栖川に笑顔で応えつつ、僕の中で暗い炎が燃え上がる。
――おぼえてろよ、五所川原。いずれ、たっぷりお礼してやるからな。
第二話 おしまい。
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