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「パンツがないない騒いでおいて、実は既に穿いてましたーってオチじゃねぇかと思って、一応確認だ」
「穿いてないよっ! 僕がいくらぼんやりしてるからってそこまで抜けてないよっ!」
真尋はそう言いながらも不安になったのか、ヘソのところのゴムを少し引っ張って中を覗いている。
その時突然、日下の肩が強い力で掴まれた。
「いっ……」
「日下……、抜け駆けはナシだって約束を忘れたのか?」
振り返ると、土居が眦を吊り上げて冷え冷えと恐ろしい形相で睨みつけている。
「だ、だから、一応確認しただけだろ。他意はないって。そんな怒んなよ」
土居はさらに恫喝するように目を眇めた。そんな言い訳を信用しろというほうがどだい無理だと言いたいのだろう。
事態は一触即発に思われたが「どうしよ。僕、午後の授業、ノーパンで受けなくちゃいけなくなっちゃうよぉ」という真尋の情けない声のおかげで衝突は回避された。とりあえず今はいがみ合っている場合ではない。真尋のパンツを探すのが先だ。
「その、なくなったっていうパンツは何色だ?」
日下の問いに、真尋はさっと頬を赤らめた。
「パンツの色聞くなんて、へ、変態のイタズラ電話みたい……」
「バカかっ。色もなんもわからず探せるわけねぇだろ! っつーか妙なところに喰いついてんじゃねぇよ!」
「あ、そ、そっか。えっと、白地にパトカーの絵がかいてあって、ゴムのとこだけ水色で」
「はぁ、パトカー? まだそんなの穿いてんのか? 小学生か、お前は」
「だって買ってくるのはお母さんなんだから僕の趣味ってわけじゃないし! 文句ならお母さんに言ってよね!」
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