第一話 やきもちチョコレート

7/10
前へ
/27ページ
次へ
 一旦学校の外に出てしまえば先生が不機嫌だったことも日下と土居にちょっかいを出されたことも忘れ、チョコのことで頭が一杯になる。電車に揺られ、軽い足取りで家路を急いだ。 「あれぇ? 濡れてる……」  自分の部屋でうきうきしながらサブバッグからチョコを取り出すと、箱が少し湿っていることに気づいた。バッグには、お昼休みに買ったレモンティのペットボトルも一緒につっこんであったのでそれが零れてしまったのかもしれない。  中にまで染みてないといいけどなと思いつつ、ぱかりと蓋をあけてびっくりした。 「な、なんでっ!?」  そこにあった筈のチョコは、跡形もなく消えていた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加