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「冷蔵庫がどうかしたか?」
冷蔵庫に歩み寄るとしゃがんで扉を開ける。一番上の棚が冷凍庫になっている、すごく旧式のタイプだ。
「箱を持ったとき少しひんやりしたけど、その時は特に気にしなかった。けど、後からよく考えて気づいたんだ。僕がいない間に、先生はここの氷とチョコを入れ替えたんでしょ? だから箱を振って確認したらコトコトとチョコが入ってるような音がした。その後家に帰る頃には氷は解けて水になってしまった。その証拠に、箱が少し濡れてたよ」
先生は押し黙ったまま僕の話を聞いていたが、ふぅっと溜め息をついて首を緩く左右に振った。
「……お前ってどっか抜けてるクセに、意外と鋭いんだよな」
どうやら犯行を認めたようだ。どこが抜けてるか問いただしたいところだが、この際それは置いておく。
「どうして僕のチョコ盗ったりしたんだよ!」
「お前に食わせたくなかったからだ。お前が誰か他のやつからもらったチョコを嬉しそうに食うかと思ったら許せなかったんだよ」
「ひどいよ、そんなの」
じわりと涙が出そうになる。五所川原先生がそんな心の狭い人だとは思わなかった。
「ほら、そんなにチョコが食いたいならこれ食え」
ぽいっと放り投げられた箱を受け取ると、その金色の箱には見覚えのあるロゴが入っていた。
「わっ、ゴディバだ! すごーい! 何これ、どうしたの?」
「お前がチョコを食えなくて、今日はしょんぼりしてるだろうと思って昨日のうちに買っておいたんだ。まさかトリックに気がつくとは思ってなかったがな」
リボンを解き、蓋を開けるといろいろな形のチョコレートがずらりと並んでいる。どれもとても美味しそうだ。
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