57人が本棚に入れています
本棚に追加
少女は子供に説明する様に、
僕の理解が追い付くのを待って静かに語った。
『限定的に限られた空間に造られた、
並行世界』
それを聞いて自然に疑問が口から出ていた。
「その境界線から出る事は出来ない?」
『本来ならね』
「それって僕達は既に・・・ 」
その時ある言葉が脳裏を過った。
不法入国者。
それは僕の住む世界のタブー。
僕の育った世界は一種の閉鎖状態にあり、
外界との交流は許されない。
それが僕の住む世界。
不法入国者は徹底的に取り締まられ排除される。
高い壁で覆われ外界と隔離された世界。
いつからなのか、
僕が産まれた時には既に都市は
閉鎖されていた。
その訳はアッパーミドルの僕には解らない。
僕は外の世界を全く知らないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!