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「でももしそうなら僕のいる世界が本来の歴史で、 ここが間違った世界って事も・・・ 」
自分でも考えがまとまって無いのに気付いて途中で黙り込んだ。
『それは無いわ』
少女は遠くを見る様に囁いた。
『さっきも言ったとおりここは・・・ 』
そこで少し思案してから言い直す。
『あなたの住む世界は、擬似的に造られた世界。
それも限られた空間に造られた世界なの。
ソウヤは都市が封鎖されている事を、
疑問に思った事はない？』
そう言われて改まって閉鎖都市に暮らす自分を客観視する。
素直に言えば余りにも当たり前で疑問に思った事は無い。
いやその事を考えた事も無かったと言うべきか。
「無いかな・・・ 」
僕は産まれた時からその環境で暮らし、
それが普通だと思っていた。
『そうかもね』
そんな心情を察した様に少女は優しく囁いた。
『そこに暮らす人間にとっては常識で、
疑問には思わないのかも』
それが大多数の総意だと思う。
そんな僕を見透かした様に少女は続けた。
『世界の信実を知りたいとは思わない？』
信実？
僕の知る世界は虚像なのか？
「それって？」
期待半分、不安半分でそう言うのがやっとだった。
少女は黙って手を差し出した。
僕は少し逡巡してからその手をとる。
不安が無いと言えば嘘になる。
でも心のどこかでこの瞬間を望んでいた気がした。
―７―
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