世界の信実

13/22
前へ
/253ページ
次へ
窓は(ふく)()がり、そこからストラムと呼ばれる監視ロボが、球形のボディーを震わせ窓から突き抜けてくる所だった。 いったいノングレア処理された、 パイレックスの窓ってどんな仕組みだよ!? 【説明が必要か?】 信じられない事にナビがその思考に答えた。 【信じられなくても真実だ】 もしかしてナビは僕の思考が読めるのか? 【もしかしなくても読める。 簡単に言えば、そのバイザーに取り付けられたセンサーが脳内の電気信号の流れを読み取り解読する】 【その後コンパイルされトラフィックされる】 全然簡単じゃない答えがかえってきた!? ただそれでも(わか)った事が1つだけある。 この瞬間僕のプライバシーは、 丸裸にされたと言う事だ! 真っ先に少女の事が脳裏に(よぎ)った。 ダメだ考えるな!? 僕は悟りを開いた坊主さながらに、 煩悩(ぼんのう)を頭から叩き出す事に奔走(ほんそう)していた。 【心配しなくても現時点で彼女は、  時系列(じけいれつ)的にも彼女は君の事を悪く思っていない】 無神経な追い討ちが流れてくる。 これはBGMだ。 考えるな俺♪ 強いぞ俺♪ 【案ずるな。プライバシーにかかわる事には規制がかかっている】 【君の奥底に眠る煩悩(ぼんのう)を、  僕が彼女に()げなければ問題ない】 この時僕の理性はヒビが入り崩壊(ほうかい)して行くのを感じた。 「うっぐっぐ」 どこからか奇怪(きかい)な声が()れていた。 少女が心配(しんぱい)そうに僕の顔を覗いている。 この暗闇で表情が読まれないのが、 せめてもの救いだ。 しばしゲシュタルト崩壊した世界で(たたず)んでいると、何かの陰影(いんえい)が走るのを感じた。           ―12―
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加