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その暫しの安息はすぐに破られた。
再びストラムはこちらに向かい進み始めたのだ。
僕は少女を抱え、守る様に体を扉を背にして
その場にうずくまった。
華奢な肩。
腕の合間から仄かに伝わる彼女の体温。
その全てが重く僕にのしかかる。
そんな緊迫した時間は唐突に終わりを告げた。
背後で扉が開閉するのを感じる。
同時に差し込む日差しがうずくまった2人を照らしていた。
皮膚に感じる生暖かな感触。
雪崩の様に室内を満たして行く外気。
それは透明なジェル状の煙となって、
二人を包み込んでいった。
―13―
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