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少女が座席に到着した時それを狙った様に、
スポットライトの様な白光が、その小さな体躯を
照らし出した。
ハレーションの様に華麗なシルエットが、
浮かび上がる。
それは少女の頭上で滞空したストラムが発した
光だった。
その一瞬座席でキラリと光る小さな光点が見えた。
少女はその光点に手を伸ばすと素早く掴み駆け出していた。
いや正確には駆け出そうとしていた。
残念ながら少女の足は床には付いておらず、
虚しく宙を泳いで、空中で上下運動を繰り返しているだけだった。
小さな体が浮遊していた。
捕捉されたのか!?
(ナビ!!)
僕は心の中で叫びナビを見る。
既にナビは動いていた。
コントロールしたストラムを使い、少女を拘束するストラムに向けて突進させる所だった。
同時に僕を包んでいた無重力フィールドは、
その効力を失い、僕は空中で投げ出されていた。
突然の脱落感と共に、背中に激しい衝撃が走った!
僕は床で悶絶しながらストラム同士が衝突するのを目撃していた。
ビリヤードの玉の様に衝突したストラムが弾かれ、壁に激突する所だった。
座席の窓を粉砕 し、半場めり込んで止まる拘束者(ストラム)。
その衝撃で粉々に粉砕された黒いガラスの破片が、辺り一面に降り注いだ。
黒い星空が天から落ちて来る様な錯覚に、
一瞬心を奪われながらも、
本能がとっさに腕で目を庇って床に伏せていた。
ガラスの豪雨が、バリバリと言う床を食い散らかす様な乾いた音をたてて、辺りを包んでいた。
黒き豪雨はすぐに止み静けさが辺りを包んだ。
恐る恐る辺りを見渡すと、
粉砕された窓から日光が射し込み、
床に散らばったガラスの破片を照らしていた。
不思議な事に床に散らばった黒いガラス片は、
バターが溶ける様に透明になって消えていった。
いやそう見えただけで実際には、普通の透明な
ガラスの破片となって辺りに散らばっていた。
僕は陸上選手さながらに立ち上がると、
少女に駆け寄っていた。
少女は放心した様にその場で踞り膝を抱えていた。
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