プロローグ

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───彼から与えられる快楽に、僕はただ割れんばかりの嬌声を上げ続ける。 激しく身体を揺さぶられ、深いキスをされ、胸の尖りを愛撫される。 …部屋に淫らな水音と艶やかな喘ぎだけが、大きく響いている。 貴方しか知らない身体はただ…悦びに満たされていく───。 その快楽の渦の中で朦朧としながら考える…。 たとえ、貴方が僕の身体だけが欲しいのだとして。 …僕に対する気持ちが、一欠片も無いとして。 この初恋が…叶わないとわかっていたとして。 明日、ここを一人で出て行くことが決まっているとして。 出て行くことで、自分が死んでしまうとして。 …離れても貴方を忘れられないのがわかっていたとして。 触れれば、触れるほど離れるのが苦しくなってしまうとして…。 …悲しくても、苦しくても、辛くても。 …今はまだ、貴方から与えられる快楽に溺れていたい───。
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