”平凡で、幸せな生活”の崩壊

2/10
前へ
/66ページ
次へ
「行ってきます。」 「「行ってらっしゃーい。」」 …家の中に響いた両親の声を聞いて、扉を閉める。 マフラーを鼻まで引き上げ、手をポケットに突っ込んでゆっくりと歩き出す。 …空を見上げると、綺麗なくらいの快晴だった。 ─── 空を見上げた薫の頬を、冷たくなってきた冬の風が撫でていった。 成瀬(なるせ) (かおる)、24歳。 実家で父、母と共にのんびりと暮らしている。 兄は都会に行ってしまっているが、兄弟の仲もいい。 短大を卒業した後に地元の小さな印刷会社に就職して、もう4年目になる。 仕事は楽しいし、人間関係はとっても良好だ。 …そんな平凡だけど、幸せな生活を僕は送っている。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

126人が本棚に入れています
本棚に追加