キュウドウブ! 1本目①

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 真っ白な弓。  風で乱れた金髪を整えることもせず、彼女は静かに、矢を構える。  気付いた時にはもう、僕は走り出していた。ぐるりと貯水タンクの後ろに回り、梯子を上る。 「ダメだ!」  ダメだ、ダメだと僕は叫ぶ。  その言葉によって彼女が思い止まるのかどうかは分からない。それでも云わなきゃ、伝わらない。 「弓矢を! そんな使い方しちゃ! ダメ、だっ……うわぁっ!」  ずる、と右足が落ちる。  そのまま体はぐらりと傾いた。梯子を掴む手に力を入れたが、遅かった。  一瞬の浮遊感。  あ、これ、落ちる――  そう思った僕の手を、誰かが強く掴んだ。 「あ……」  逆光の中でも分かる美しさだった。金色の髪、色白の肌、青と緑のオッドアイ。  彼女は、軽々と僕を引き上げた。 「あ、ありがとう……」 「うん」  会話が途切れる。ええっと、こういう時、何を話せばいいのだろう。 「ぼ、僕は一年B組の大宮夏彦です! あの、僕は今日、転校してきたばかりで、校内探索をしていたらここに来ちゃったっていうか……」  うわ、自分のことばっか話しちゃってる! こういう男は嫌われるってこの間テレビで云ってたぞ! 「き、君は? 君の名前、教えて!」 「ロエル」     
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