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デカイ図体を全力で押しのけた。おまえら、何イチャついてんだよ! とからかうクラスメートの加茂に、ばーかと佑二は手をひらひらさせた。
「まあ、いいかげん、ねーちゃんと仲なおりしろってことだ」
佑二は、あちーあちー、夏にあばれるもんじゃないな、と首筋を下じきでパタパタあおった。どういうことで、そういう結論になるのかさっぱりわからなかったけど、
「うーん、まあ考えとく」
と気のない返事をした。
ちょうど予鈴がなり、昼休みがおわりをつげる。木立のせみが予鈴にビックリしたのか、一匹空へ飛んでいった。ジジジジ――。
佑二とは小学生のころからずっと一緒。名実ともに仲がいい。クラスが離ればなれになったこともないし、これはもしかしたら運命ってやつかもね。寝てもさめても、バスケの部活も登下校も、体育の準備体操も理科の実験の班まで一緒だ。年中一緒にいるぼくらを、あいつらデキてんじゃないのか? とクラスメートはからかう。そんなとき、佑二もぼくもきまって全力で否定した。
ぼくらの友情は、ちょうど買ったばかりの運動靴に似ている。おろしたての運動靴が、まっ白すぎて恥ずかしい。日ざしにかがやいているみたいで、ちょっと優等生っぽくて、わざと汚してケチをつけたくなる。
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