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 放課後、わたり廊下ですれちがったバスケ部の高橋先輩に「よう、でこぼこコンビ。気をつけてかえれよ!」と威勢よく声をかけられた。校内にのこる生徒の姿もまばらになり、夏の夕日が校庭を走る陸上部員のシルエットをにじませていた。ファイト、オー、ファイト、オー、とどこかで生徒の声がこだましている。 「でこぼこコンビて……おれら、セットでおぼえられてんのな」  佑二はわざとらしくため息をついた。 「いいじゃん、セット。お得な感じで」 「おれらは、バリューセットかよ」  たしかに、背の順で前から数えた方がはやいぼくと、後ろの方の佑二が並んで歩いていれば、でこぼこして見えるんだろうな。ユーカリの大木とコアラに例えられたこともある。バスケの練習中、マンツーマンディフェンスをしているときだった。なんじゃそりゃ! とぼくも佑二もおもわず声をそろえてツッコんでいた。そう例えたのは同じバスケ部でクラスメートの加茂だ。あいつは何かにつけてぼくらの仲をからかう。まあとにかく、そんなに身長がかわらなかった佑二に、いつのまにか追いこされてしまったことだけは事実だ。     
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