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 本日のバスケ部の練習終了。はらへったー! なんて叫びながら、体育館よこの駐輪場へむかっているところだった。ぼくは徒歩で通学していることになっている……おおやけにはね。実際は佑二の自転車の後ろが専用指定席だ。もちろん二人乗りが見つかったら自転車通学禁止なんて面倒くさいことになりかねないので、細心の注意をはらう。学校から十分な距離をとるまでは、二人乗りしないし、通学コースも、なるべく目撃者が少なくなるよう慎重に吟味をかさねてあった。ちょっとしたミッションだ。入学したこの春から、ずっとそうしている。  後を追いかけていたぼくは、急に立ち止まった佑二の背に、おもわずつんのめってしまった。 「なんだよ、きゅうに……」  もう! といいかけた言葉が宙にうく。佑二の肩ごし。夕暮れにそまるオレンジ色の世界で、セーラー服のすそが風にはためいていた。  同じクラスの須藤さんが、駐輪場の入り口に立っていた。須藤さんは、風をはらむスカートを手でおさえ、ほつれた髪を小さな耳もとになでつけていた。彼女は、はじめぼくらに気づかず、足もとの小石を、スニーカーのつま先でちょんとけったりしていたが、石の転がった先にぼくらを見つけて、はっとして、あっと声をもらした。ぼくも佑二も、ただ立ちつくしていた。フェンス越しにプールのにおいと、水泳部員の号令が夕風にのってとどいた。 「あのね。ちょっといいかな……」  いっこうにしゃべりもしない、動きもしないぼくらに、須藤さんがうつむきがちのままいった。やっぱりぼくらを待っていたんだ。 「――なに?」  硬直する佑二の肩ごしに、ぼくが声をかけた。 「ううん……あの、ごめん。えっと、上田くんにはなしがあって」     
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