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入院してから半年後、おじさんの葬儀の日は朝からずっと雨が降っていた。
いつも着ている学ランが鉛のように重く感じた。
焼香を終えた出口のところで弔問客を見送るヒナの顔を、まっすぐには見られなかった。目元は真っ赤で、でも涙の跡が見えない顔は、ヒナが必死になって泣くことをこらえていることの表れで、その事実が何よりも鋭く胸をえぐった。
自分が今までどうやって息をしていたのかを思い出せず、力の入らない腕や脚はとってつけた出来損ないの玩具のようだった。
ヒナもおれの顔を見なかった。
一生降り続くんじゃないかと思った雨が上がったことに、なぜか安堵よりも苛立ちを感じた。
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