Yuuki Side2:三つ子の「魂」、とりあえず今は17まで

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「夕希。ここ、よくわかったね。」 「・・・うん。」 「ごめん、今日は遅くなっちゃって。この顔どうにかしないと帰れないから。」 無理に笑おうとするヒナの顔を見ていられなくて、咄嗟にヒナの顔を自分の肩に押し付けた。寒さに冷え切った、軽すぎる感触。 怖かった。 このまま風が吹いたらどこかに行ってしまいそうなヒナを、きっと繋ぎ止められないことが怖かった。 「帰ろう、ヒナ。」 ヒナはおれの肩に顔を押し付けたまま、小さく首を横に振った。 「ちゃんと帰る。でも、この顔じゃ帰れない。お父さんと約束したの。ちゃんと笑顔でいるって。笑顔を忘れたりしないって。ごめん、夕希。探してくれたんだよね。たぶん、あちこち走り回って。」 ヒナが途切れ途切れに放つ言葉が、身体を通り過ぎる。 汗で張り付いていたカッターの肩口がもう一度濡れていく。 そのまま、もっと深く、肌に沁み込めばいいと思った。 刻みつけたかった。 形にはできそうにないこの感触を、絶対に、見失わないように。 その後、ヒナは3日間風邪で寝込んで、その間におれは道場に戻った。
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