Yuuki Side2:三つ子の「魂」、とりあえず今は17まで

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師範は目の前に立ったおれを見下ろし、はっきりと顔をしかめた。 「何しに戻ってきた。」 いつも以上にドスのきいた地を這うような声で、まっすぐにおれを見据えて訊く。 気持ちはわからないでもないが、中学生を相手に殺気を発するのはやめてほしい。後退しそうになる脚にぐっと力を込め、なんとか踏ん張る。 「戻って来いって、言ったじゃないですか。」 「かなり前にな。ここはゲーセンじゃないんだよ。来たいときに来るって奴がいるか。」 「わかってます。今度は、たぶん本気でします。」 「・・・。」 たぶん、と言っている時点でどうなんだよお前、と師範の目が語っている。 それはそうだ。 でもおれにとってはそうとしか言いようがなかった。 「本気でする」ということが、どういうことなのかはわからない。 わかってこなかった、今までずっと。 こんないかついおっさんに睨まれ、見下ろされ、殺気を噴き出され、それでも後ろに引くまいとする、この脚にこもる力がたぶんおれの本気、なのだろう。 今はそれしかわからない。
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