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「なんで、というのは愚問かな。ハンターを狩れば、人の安全のためにもなる」
僕はきっと、答えは違うと思いながら言った。
やっぱりホープは首を横に振った。
「そうじゃない。私は、あなたたちが怖かったの。
魔法なんか使わなくても、ハンターを狩れる人たちが。
それはきっと、歴史さえ変えてしまう。
今、私たちの持つ名声、富を失うのが怖かったの……! 」
怖い……か。
おそろいだ。
だから僕も、告白することにする。
「実は僕、独立を考えてたんだ」
彼女は痛みさえ忘れた様子で、目を点にした。
「人件費が、予算の何%を占めてるか、知ってる? 」
僕は、彼女の手をほどき、立ち上がった。
彼女もつられて、立ち上がる。
残ったのは腰のピストルと、予備のアサルト・ライフルが2丁。
ライフルの1丁をホープに渡した。
「こういう武器だって、このごろ値段がうなぎのぼりだよ。
手柄の独占を狙うのが賢い方法だと思った。
多分、援護に来る爆撃機パイロットだって、同じようなことを考えてるだろう」
ホープは、おずおずと銃を受け取った。
「でも、独立は止めた」
僕はこの時、ハンター・キラーでいる資格を失ったのだろう。
仲間を歯車として使いつぶすことを選んだから。
ハンターにすべての原因押し付けて。
それでも僕はやったんだ。
「やっぱりハンターは怖いし、君には生きていてほしいよ」
この最後の一言だけは、真実になるよう祈りながら。
ホープの手はもう、おずおずしていなかった。
応援が来るまで、およそ20分。
あとは、ホープの無事を祈る誰かが欲しいな。
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