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「ダメだ! 敵が多すぎる! 」
運転席とカフェの間には2連装マシンガンの銃座がある。
ハリーが、銃座の仲間が叫んだ。
周りは薄暗く深い、杉の森。
何千年生きているのかわからない大木が、僕らが逃げ込むのを拒んでいるようだ。
その奥から、銀色の巨大なきらめきがいくつも迫ってくる。
人型でありながら、人間ではありえないほど筋肉と身長があり、頭から角をはやしたのは鬼か?
火を吹くライオンの首と、冷気を吹くオオカミの首を持つハンター。
足の生えた人食いサメのようなハンター。
肉食だけでなく、明らかに草食の象やサイも交じっている。
そして、ドラゴンらしきものが、次々に飛び掛かっては火を吹いてくる!
何でこんなに種類が集まって、しかも群れて襲ってくるんだ!?
さらに厄介なことに、その種類を確信できない。
その理由は、この車の後を見ればわかるだろう。
ハリーが運転していた6輪駆動のクレーン付きトラック。
くそっ!
「世界で一番止められない車」というキャッチコピーはなんだったんだ!?
そのタイヤは、岩の隙間にはまって動けない。
地図を描いた人は、道の定義がわかっていないに違いない。
森に返りかけ、岩をヤブに隠した道だ。
僕の車はトラックを引っ張りだすため、鎖でつないでいる。
トラックの荷台には血をしたたらせて、ハンターがいる。
鎖と柵によって無理やりたたまれた大きな羽。
一番上には、とげの生えた長いしっぽが折り曲げられている。
地上で体を支えたのは、鋭い爪がのびた4本足。
張り出したあごにナイフのような牙が並ぶ。
その口は真っ赤な火をふき、1キロ先にも命中させる。
火の魔法を操る、ファイヤー・ドラゴン。
でも、それは関係ないはずだ。
ドラゴンも飛行生物だから、見た目よりは軽いはず。
それをトラックの積載できる限界、6トン近くに重くする物。
ドラゴンの剣の切っ先のようなウロコに、切られることなく根を張っている植物だ。
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