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歯車ラン。
本来は真っ赤なはずのウロコに、葉をスーツのようにへばりつかせている。
植物である以上、花は咲く。
花だとは言われないと、わからない人がほとんどだろう。
腕や足、胸などに、平たく重なって張り付いている。
四角い花弁を四方に伸ばす鈍色の花。
雪の結晶のようにも見える。
この花は金属を主成分とする。
その硬さは、防御の呪文を書き込み、僕らの装甲車の装甲にも使えるほど。
歯車ラン自体は昔から知られていた。
鉱山に近い土地で、生き物の死骸に生えるんだ。
だけど、去年くらいから生きている生き物にも生えるようになった。
生えたハンターが一緒に生活するようになる。というのもよく知られた性質だ。
植物食も、肉食もいっしょに。
それをビビッド・コープスの精鋭4人は、強行軍に次ぐ強行軍でようやく、一匹手に入れた。
そう喜んでいたのに……!
その時、ビビッド・コープスのボス、ミネルバさんがかけよってきた。
もう50代のはずなのに、今も若々しく、たくましい。
ファイヤー・ドラゴンのウロコを使った、分厚いヨロイの下からでもわかる。
背中から、使い込まれた太刀を抜いた。
自分の背丈より長くファイヤー・ワイバーンの羽と爪を使っている。
これで荷台のドラゴンにとどめを刺した。
その太刀を振り下ろすと、トラックにつないだ鎖はあっさり切れた。
同時に、3人の騎士が現れた。
銃撃を潜り抜けたハンターを、4人で防いでくれる。
水や氷を使う、青いヨロイのジェニファー。
武器は変幻と勢いを合わせ持つ片手剣と、打撃力も大きいふくらみのある丸い盾。
黄色は質量と破壊力を持つ土の色。
そのヨロイのオティエノさんは、巨大なハンマーで、銀色の鬼を押し返した。
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