女の神獣とシスターさんが出てきます

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 『たんたんタヌキ』と同じ音楽のはずなのに。  その歌は荘厳の2文字を、僕の心にきざんだ。  こういうのを透き通るような歌声というんだな。  僕は自然と拍手していた。 「すごい! すごい! 謎がとけた! 」  ボルケーナは一曲歌えて、満足そうだった。  そして、僕との仕事に取り掛かる。 「まだまだ。ただあやまるだけじゃだめだよ。  白河ちゃんは、心のキレイな人だからね」  うん。それは分かってる。 「ただ謝っても許してくれるわけがない。  ちゃんと心の清らかさを見ぬいてくる」  それは……どうにかして、しめせるものなの? 「すぐできるものじゃないね。街に落ちたゴミを拾い続けるように、地道に続けていくことさ」  そうか! じゃあ、さっそく街にでよう!  ゴミが落ちているなら、人どうりの多い商店街かな?  意気揚々と、そう思ってたんだけど……。 「チリ一つ落ちてない! 」  ゴミと人どうりが比例してない!  ボルケーナも驚いた。 「珍しいこともあるもんだ! 良いことだけど!   あ、そうか。  さっき青年団が掃除してたな」  これじゃあ、地道に『心の清らかさポイント』をしめせない!  こまった……。  その時、1台の自転車が走ってくるのが見えた。  それにまたがっているのは、黒くて長い髪をなびかせた少女。  彼女が着た白いワンピースは、まるで白百合のよう。  白河 明依子その人だ! 「ネ、ね、ね」  僕は、あわてて呼び止めようとした。  でも、白河は僕を一ニラミするだけで走り去った。  ああ、生きる希望を失った……。 「そんなに白河ちゃんが好きなの? 」  ボルケーナは当たり前のことを聴いてくる。 「好き! 大好き! 彼女がいるから僕は世界の美しさを信じられるんだよ! 」 「あの子はカトリックだからね。本物のシスターさんになったら結婚できないよ? 」  また当たり前のことを。  ……ある日、図書館でキリスト教の本を読んだ時の絶望が、今も胸をえぐる。  でも、それでも……。 「彼女の戦いは僕の戦いだ! 」
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