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永遠に続けられそうだったけど、今日はこれぐらいにしよう。
岸に向かって力いっぱい漕ぎはじめる。
足が着く場所まで来ると急に重く感じる体と、僕の背より少し長いサーフボードを持ち上げ、よいしょっと砂の上に立たせた。
真っ白のボードの先端に、七色の虹。
水の滴る前髪をかき上げて、砂浜の方を眺めた。
砂浜にいるはずの人影を探す。
いた!
季節外れの海岸にひとりポツンと座る白い帽子に向かって、思いっきり手を振って見せた。
僕に向かって相手も手を振り返している。
僕はボードを抱えて、真っ直ぐに走り出した。
「碧樹―!!」
僕を呼ぶ声が聞こえた。ずっとずっと聞いていたあの声。
僕の魂に擦りこまれている、僕を呼ぶ唯一の声。
嬉しくなって、僕も呼び返した。
「ハルーー!!」
なんだか青春映画みたいだ。
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