最終章 七里ヶ浜

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ハルは砂浜に敷いたシートの半分を空けて座っていたから、空いていた場所に腰を下ろした。 「ごめん、濡れちゃうな」 「ぜーんぜん、大丈夫!」 ハルはそう言うとタオルを渡してくれた。 「おっサンキュ」 受取って顔を拭くと 「あと、これもね」 そう言って日焼け止めクリームを差し出した。思わず笑って 「やっぱりこれか」 と言いながら受け取ると 「今の時期が一番紫外線が強いんだから」 と、さっき脳内で再生されたまんまの声で言った。 久しぶりに外で見たハルの顔は、僕が知っているどのハルよりも白い。 「あれ?これハルの方が必要なんじゃないか?」 「私は綺麗に焼けるから大丈夫。ほら、鼻の頭皮がむけちゃってるよ」 そういえば顔がヒリヒリする。プールの水と違って、乾くと塩をふいたみたいに白い粉が付いた。あ、塩をふくってそういうことか。
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