最終章 七里ヶ浜

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「でね、見せたかったのは、このフォルダー」 そう言ってナツが開けたのは『お弁当』とタグが付いたフォルダーだった。 「お弁当?」 思わず覗き込むと、そこには毎日のお弁当を映した写真が何百枚も入っていた。 どれも見覚えがある。僕が毎日食べていたハルのお弁当だ。 「何で写真なんて」 「なるべくおかずがかぶらないようにでしょ。例えば月曜日。先週が唐揚げだったから、今週はトンカツとかね。付け合せも同じような味付けにならないように気をつけたり」 「ええっ」 「あ、引いちゃってる?お姉ちゃん徹底してるからね。絶対に冷凍食品使わないし」 「この日付の次に書いてある数字は何だろ」 「ああ、これ?カロリーだよ」 「カロリー?!」 「そう。碧樹は朝食が少ないから、お弁当でしっかり栄養を取れるようにってハルヒは独自にカロリー計算能力を取得したのだ。知らなかった?」 「知らない、初めて聞いた」 「やっぱりなぁ」 「なんでそういうこと黙ってるんだろ」 「あおくんに知られたら引かれるって分かってるからじゃない?」 「うん、そこまで分かられてることも怖いよ」 僕は苦笑いをして見せた。
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