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あの時から変わらない音色が、僕の鼓膜を優しく揺らす。
――脆く儚い旋律が、とても君らしい。
そんな風に思った事がいけなかったのか。
『さて、今日のニュースコラム。あの多くの犠牲者を生んでしまった悲劇のバス事故から丸2年が過ぎ―――』
今日は、作曲家を目指した君の3回忌。
それでも鮮明に、たくさんの思い出が蘇ってくる。
白い音楽プレーヤーを撫でながら、僕は唇を噛み締めた。
僕は忘れない。
これから先も。
止めたくても、時間は止まらない。
そして、
僕の涙も、止まろうとしない。
Fin.
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