1 チョコレートマフィン

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 おじさんは「いつ来てもいい」と、魔王の城のカギをくれたらしいけど、「カギで入ってもモリーに勝てなかったら親父のとこまでたどり着けないんだよ」と、意地を張って使わない。  中にはモンスターがうようよいるわけだから、モリーに鍛えてもらった方が危険が減るとは思う。でも、戦う必要はあまりない気がする。おじさんは魔王の側近らしい。  なんとなく、モリ―とリアムは師匠と弟子のように思えた。話を聞いただけだけど、モリーはリアムを鍛えるのが楽しんでいるように思えたし、リアムも目をキラキラさせて挑んでいる。  リアム、ひとりでどこに行ってるんだろ。  ウチにお客さんがいるときは、リアムはウチに寄り付かない。  リアムは村に来た冒険者から戦いを挑まれることもある。  リアムは私と違って、外見は魔族だった。  人型はしているけど銀の髪に赤い瞳で、エルフのような姿をしていた。  それで目つきが悪いから、冒険者たちに目の敵にされる。  マークみたいにニコニコしてたらそんなことにならないはずなのに。  ただ、エルフは高価な宝石を持っていることがあって、エルフと勘違いされて攻撃されることもある。こわいよね、ならず者の冒険者とかって。  リアムは魔物も人間も、どっちにも敵対しようとしていない。どちらからも攻撃されるけど、ても、それにぐっと耐える。  口下手なんだよ。  リアムは……。  あの顔で村の外を歩いていたら、むしろ危険だと思うんだけど……。  でも、リアムは冒険者がくると、村に寄り付かなくなる。
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