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「じゃあ、私は配ってくるから。留守中、オーブンを使ってもいいわよ」
ニコニコとお姉ちゃんは言う。
「……私にお客さんの分を作れってこと?」
ニコニコと、なに気に面倒なことを押し付けようとしているのか?
「違うわよ。それは帰ってから私が作るわ」
わざとらしいくらいニコニコしてて気持ち悪い。
「バレンタインなんだから、リアムの分に決まってるでしょ」
「え?」
なんで私がリアムの分を?
「純粋なチョコじゃないんだから、作って渡せばいいじゃない」
ニコニコとお姉ちゃんは言った。
「作んないよ」
なんで私が……。
「レシピは掲示板に貼ってあるから、分量をきちっと計れば初めてでもできるわよ。材料は出っぱなしになってるからそれを使いなさい。まだお客さんの分とウチの分は作ってないから、その分は残しておいてね」
お姉ちゃんは早口に言う。
ひとの話、聞くつもりないよね。
ニコニコしてたけど、ミランダお姉ちゃんとは違う底意地の悪い顔に見えた。
ムッとした顔で見ていると、お姉ちゃんは楽しそうにバスケットを抱えて出て行った。
ぜったい、お姉ちゃんの言う通りになんてしないんだから。
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