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2 魔力を回復させる木の実
私は混血だったから、魔法が使える。
外見はふつうの人間と同じで、白い肌に金髪。姿だけで混血と言われたことはない。
でも、魔法が使えた。しかも、攻撃魔法。だから村のみんなは、魔法使いの服をくれた。私の瞳の色と同じ、モスグリーンのかわいいローブ。
宿屋の仕事はしないから、メイド服はくれなかった。
もらっても着ないけど……。でも、魔法使いの服はもっと着ない。着たくない。
困ったことに、すっごくすっごくかわいい。腕はいいのにミスティ村に流れてきた村人が作ってくれたローブだった。
お金を使って強い装備を整えられる最後の場所のミスティ村。そこで売られるのにふさわしい、魔法防御にも優れている最高級の物だけど、まだ着たことはない。
ホントは女の僧侶の服が欲しかった。魔法使いの魔法は攻撃が中心だから、治癒魔法ができる僧侶になりたかった。僧侶になりたいと言っても、信仰心はないけど。
僧侶ならみんなが怪我をした時に、治すことができる。
でも私は、傷つけることしかできない攻撃魔法ばかりが得意。
リアムは治癒魔法が得意だった。
「宗教のことなんて、わかるわけないだろ」と、言いながら、僧侶をやらされている。
魔王城の攻略に行く以外の日は、教会で毒を解いたり、呪いを解いたりしている。人間のお医者さんもいるけど、村人の病気や怪我はリアムが治している。
仮の資格を与えられて教会にいるだけだから、蘇生はできない。でも、いつか、蘇生ができるようなすごい僧侶になりそうな気がする。
なんだかんだ言って、他人の役に立つの、好きだから。
……リアムは。
ため息をついて、生地をこねる。他にやることもなかったし、ブレンダお姉ちゃんの言う通りにするのはしゃくだったけど、マフィンを作っていた。
ひまだから、しかたがなく作っているだけだし。
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