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「シェリル」
一番上の姉、ピンクのリボンのミランダお姉ちゃんが両手に何かを持って、受付からやってきた。
怖いくらいに上機嫌だった。
「何?」
手を止めて聞く。
「じゃーん」
細い綺麗な声。
いつもニコニコなミランダお姉ちゃんが、いつもの倍以上の笑顔で両手を私の前に出す。1インチくらいの木の実を5つほど持っていた。
「何? これ」
丸くてしおれた感じ。茶色くて独特な匂いがした。
「魔力を回復する木の実よ」
ニコニコとお姉ちゃんは言う。
「……そうなんだ」
あまりおいしそうではない木の実を見てそう言うと、お姉ちゃんはグイグイと私にそれを押し付けてくる。
「なに?」
何が言いたいのかわからない。
「トッピング、してみたら?」
首を傾げ、おっとりと言う。
「……これに?」
練っていた生地を見て言うと、お姉ちゃんは上品にうなずく。そして、そそくさとキッチンの壁にある棚まで行き、そこからコーヒーミルを持ってきて、私の前に置く。
これを使って砕けってことだろう。コーヒー豆以外に使ったら、ブレンダお姉ちゃんが怒るんじゃないかな?
「美味しいの?」
「食べたことないから、わからないわ」
ニコニコとミランダお姉ちゃんは言う。
「味は二の次なの?」
「魔力は回復するんですって」
気持ち悪いくらい、ニコニコしてる……。
「……ありがとう」
よくわからなかったけど、受け取った。
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