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3 食べれる物で作ったはずの茶色い物体
オーブンから出した物体をバスケットに入れ、中が見えないようにナフキンをかけて家を出て、村の外の草原でたそがれていた。
「……ふう」
小さくため息をつき、大樹の下にあった座るのにちょうどいい切り株に腰を下ろす。風が吹くと葉がサラサラと音を立てて揺れ、物思いにふけるのにちょうどいい場所だった。
日差しは温かく、ハイキング日和といえば、そうである。でも、ミランダお姉ちゃんにわからないように家を出てきた。
そういえば、みんなでハイキングなんて、もうずっと行ってなかった。
小さい頃は、よくお姉ちゃんたちに連れてきてもらった気がする。
バスケットにランチを詰めて、パッチワークのマットを広げてそこでみんなで食べた。
ブレンダお姉ちゃんはその頃から料理が上手で、リアムとお姉ちゃんのサンドイッチを取り合った。
ナフキンがかけてあるバスケットは、そんな頃の幸せな記憶が甦る。
外見だけは、あの時のバスケットと同じだけど、中身は……。
やっぱり、私はお姉ちゃんたちとは血がつながってないんだ。
だからこんな物ができたんだ……。
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