3 食べれる物で作ったはずの茶色い物体

1/11
前へ
/52ページ
次へ

3 食べれる物で作ったはずの茶色い物体

 オーブンから出した物体をバスケットに入れ、中が見えないようにナフキンをかけて家を出て、村の外の草原でたそがれていた。 「……ふう」  小さくため息をつき、大樹の下にあった座るのにちょうどいい切り株に腰を下ろす。風が吹くと葉がサラサラと音を立てて揺れ、物思いにふけるのにちょうどいい場所だった。  日差しは温かく、ハイキング日和といえば、そうである。でも、ミランダお姉ちゃんにわからないように家を出てきた。  そういえば、みんなでハイキングなんて、もうずっと行ってなかった。  小さい頃は、よくお姉ちゃんたちに連れてきてもらった気がする。  バスケットにランチを詰めて、パッチワークのマットを広げてそこでみんなで食べた。  ブレンダお姉ちゃんはその頃から料理が上手で、リアムとお姉ちゃんのサンドイッチを取り合った。  ナフキンがかけてあるバスケットは、そんな頃の幸せな記憶が甦る。  外見だけは、あの時のバスケットと同じだけど、中身は……。  やっぱり、私はお姉ちゃんたちとは血がつながってないんだ。  だからこんな物ができたんだ……。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加