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バスケットを膝に乗せ、そっと中身を見る。
あの日の色合いが綺麗なサンドイッチが入っているわけではなく、マフィンになるはずだった、茶色くはじけたような物体がごっそりと入っていた。
そっとナフキンをその上にかけ直す。
何が原因だったんだろう。
お姉ちゃんがくれたあの怪しい木の実だったのか、それとも私の料理の腕前が壊滅的なのか。
前にブレンダお姉ちゃんと一緒に作ったクッキーは美味しくできた。でも、あれはブレンダお姉ちゃんが一緒に作ってくれたからで、私ひとりで作れば、こんなものしかできないのかもしれない。
ブレンダお姉ちゃんのレシピ通りに作れば、きっとお姉ちゃんが作ったあの美味しいマフィンのようになるはずで、そうならなかったのは、レシピと違うことをしたあの木の実群を入れたことが原因ではないか。
すると、ミランダお姉ちゃんが原因と言うことになる……。でも、ブレンダお姉ちゃんのレシピもおかしいかもしれない。
お姉ちゃんはいつもレシピなんて使わない。私のために書いてくれて、でも、書き方がわからなかったのかもしれない。
何が原因か、わからなかった。もしかすると、ミランダお姉ちゃんも、ブレンダお姉ちゃんも、二人で協力して、私にこんなものを作らせたのかもしれない……。
あの冒険者も、二人して絶妙に協力していたぶっていた。
双子だからなのか、言葉を交わさずに相手の気持ちがわかっているようなところもあって。
あの二人に限ってとは思うけど、私は血がつながっているわけじゃないもの。ウチの家族は生まれた時から宿屋の人間で、見ず知らずの相手でも、家族として扱うのがうまい。
ホントは、私のことも、そうなのかもしれない。
フラっと泊まりに来た人たちと同じような扱いなんだ。
慣れ親しんだ場所を離れる原因になってしまった私のことなんて……。
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