3 食べれる物で作ったはずの茶色い物体

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 バスケットの中から、一口サイズの茶色い物体を取り出して食べてみる。見かけはまったく美味しそうな雰囲気ではない。  茶色くても焦げているわけではないから苦くはない。でも、チョコレートの甘味はなくなり、入れたはずの砂糖の味はどこに消えた? という感じ。  口から鼻に抜けてくる匂いも薬のアレに近い。 「まっず……」  でも、食べ物は粗末にしてはいけませんというウチの教えがあるから、吐き出さずに食べる。あまりのまずさに、じわっと涙がにじむ。  柔らかく、もにゅもにゅとした歯ごたえ。噛んでもすぐには切れず、ガムのような伸びる感じ。でも、噛んだ後にくっつくことはない。  がんばって噛み切って、ゴクンと飲みこむとのど越しがかなり悪く、胃の中で不満そうに居座っているかのようだ。お腹の中に茶色い塊がゴロゴロしているような印象。  一応、食べても大丈夫そうな感じだけど、あまり嬉しくはない。  とにかく、ものすごくまずい。 「こんなものあげたら、嫌われちゃうよ……」  思わずつぶやいた。  べつに、リアムにあげるために作ったからとかじゃなくて……。  リアムにあげたいと思ってるわけじゃないし……。  そんなことを思いながら、草原でたたずむ。
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