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バスケットの中から、一口サイズの茶色い物体を取り出して食べてみる。見かけはまったく美味しそうな雰囲気ではない。
茶色くても焦げているわけではないから苦くはない。でも、チョコレートの甘味はなくなり、入れたはずの砂糖の味はどこに消えた? という感じ。
口から鼻に抜けてくる匂いも薬のアレに近い。
「まっず……」
でも、食べ物は粗末にしてはいけませんというウチの教えがあるから、吐き出さずに食べる。あまりのまずさに、じわっと涙がにじむ。
柔らかく、もにゅもにゅとした歯ごたえ。噛んでもすぐには切れず、ガムのような伸びる感じ。でも、噛んだ後にくっつくことはない。
がんばって噛み切って、ゴクンと飲みこむとのど越しがかなり悪く、胃の中で不満そうに居座っているかのようだ。お腹の中に茶色い塊がゴロゴロしているような印象。
一応、食べても大丈夫そうな感じだけど、あまり嬉しくはない。
とにかく、ものすごくまずい。
「こんなものあげたら、嫌われちゃうよ……」
思わずつぶやいた。
べつに、リアムにあげるために作ったからとかじゃなくて……。
リアムにあげたいと思ってるわけじゃないし……。
そんなことを思いながら、草原でたたずむ。
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